前歯インプラントは難しい?メリット・デメリットや治療期間も解説
前歯インプラントの治療は、難易度が高い治療の一つといわれています。それは、前歯部分の顎骨や歯肉は、奥歯と異なり厚みが十分ではなく、特に骨は瘦せやすいともいわれるためです。
一方で、前歯インプラントの治療によって見た目の良さを実現できたり、噛む力を回復したりさせることも可能です。
本記事では、累計10,000本以上のインプラント症例を手がけ、審美性の求められる前歯インプラントにおいても多数の実績を持つ「さとうデンタルクリニック」の知見をもとに、難しさの理由や治療のメリット・デメリット、治療期間について解説します。
前歯インプラントが難しい理由とは
前歯にインプラントを施すのは、奥歯にインプラントを施すのと難易度が全く異なります。
治療難易度が高いといわれる理由は、主に次の5つの理由によるものです。
- 前歯は奥歯より顎骨が薄い
- 見た目の良さが求められる
- 歯肉移植が必要な場合がある
- 複数本の前歯インプラントは難易度が高い
- 付帯手術が多い
なぜ、これらの理由が前歯インプラントの治療を難しくするのかを、詳しく見ていきましょう。
前歯の顎骨が薄くインプラント埋入が難しい
1つ目の理由は、前歯の顎骨の薄さです。インプラント治療の際は、インプラントを埋め込むための穴を開ける必要がありますが、前歯の顎骨は奥歯に比べて薄く、骨が痩せやすい特徴もあります。
そのような前歯の顎骨に、直径3~5mmあるインプラントの歯根部(インプラント体)を埋め込み固定させるのが、難しい場合もあります。人によっては歯茎の厚さが足りず、埋め込んだインプラントが露出してしまう危険性もあるのです。
前歯インプラントに求められる高い審美性
2つ目の理由は、求められる見た目の良さです。口を開けた時や笑った時にのぞく前歯の歯並びや見た目は、周りの人に与える印象に大きく影響を与えます。
歯茎に厚みが足りない人は、インプラントを取り付けた時に支台部(アバットメント)がうっすらと見えてしまう可能性があります。また、インプラントの治療中に歯茎が下がったり、骨が痩せたりしてしまうと、治療が終わった時の仕上がりに違和感が生じる可能性もあるでしょう。
前歯のインプラントの治療は、前歯としての機能の他に、見た目も良さも欠かせません。
さとうデンタルクリニックでは、セラミックやジルコニア素材を用いた自然な色調再現や、歯肉のラインを整える高度な技術により、前歯でも違和感のない仕上がりを実現しています。
歯肉移植(FGG・CTG)と骨造成が必要な場合がある
3つ目の理由は、歯肉移植が必要な場合があることです。インプラントの治療中に歯茎が下がったり、骨が痩せてしまったりすると、仕上がりに違和感が生まれてしまいます。
それを防ぐために、口の中の天井部分から上皮組織と結合組織を含有する歯肉を取り、減ってしまった歯肉を補うことで歯の安定性を高められます。これは「遊離歯肉移植術(FGG)」と呼ばれる移植手術で、術後の腫れや痛みが少ないのが特徴です。
他にも、結合組織のみを取って移植する「結合組織移植術(CTG)」と呼ばれる移植手術があり、特徴は自然な仕上がりで見た目の良さが期待できます。
また、場合によっては骨造成と呼ばれる、難易度の高い治療が必要になる場合もあります。
2本連続の前歯インプラントが特に難しい
4つ目の理由は、複数本のインプラント治療は難易度が高いことです。特に前歯の2本をインプラントにしようとすると、ただインプラントにすれば良いというわけではありません。
歯と歯の間には、歯肉が歯の間に入り込みすき間を埋める歯間乳頭と呼ばれる部分があります。前歯の2本をインプラントにする時は、歯間乳頭部分を合わせて作らなければ、すき間が空いてしまい見た目の良さが損なわれてしまいます。
そのため、前歯のインプラント治療、特に2本連続している場合は、難易度が高いのです。
前歯インプラントのメリット
前歯インプラントは治療としての難易度は高いですが、次のようなメリットがあります。
- 見た目の良さを実現できる
- 噛む力の回復
- 周囲の歯に負担をかけずに済む
- 耐久性がある
- 口元の健康を維持できる
インプラントは、ブリッジや部分入れ歯とは見た目や他の歯へ与える負担が異なります。これらの点から前歯インプラントのメリットについて見ていきましょう。
自然で美しい見た目の実現
1つ目のメリットは、見た目の良さを実現できることです。
保険診療のブリッジは作成時に、金属にプラスチックを貼り付けて作ります。保険適用の治療ですが、見た目の点では、自分の歯の色に合わせたものを作り出すことが難しいとされています。また、部分入れ歯はとなり合う歯に支えてもらうための金具が見えるため、見た目の良さが劣ってしまうでしょう。
一方で、インプラントはセラミックでできており、色の調整をしやすいのが特徴です。そのため自分の歯と近いものに仕上げられ、見た目の良さは違和感のない自然なものが期待できます。
しっかり噛める機能回復
2つ目のメリットは、噛む力が回復することです。
インプラント治療は、前歯の顎骨に埋め込むため、しっかり固定されています。そのため、新しい歯は独立しており、噛む力もしっかりと付きます。一方でブリッジや部分入れ歯は、となり合う歯に支えてもらうため、新しい歯自体の噛む力は強くなりません。
周囲の歯に負担をかけない独立した構造
3つ目のメリットは、周囲の歯に負担をかけなくて済むことです。
ブリッジは隣の歯を全部削って作るので、1本歯を失ってしまったことで隣の歯の寿命を大きく減らしてしまいます。
ブリッジや部分入れ歯は、となり合う歯の支えが必要となるため、他の歯への負担を防げません。しかし、インプラントの場合は、一本一本が独立した構造であるため、となり合う歯への負担を防げます。
インプラントの場合は、他の健康な歯に負担をかけずに済むため、健康な歯の寿命を縮めずに済むといえるでしょう。
耐久性が高く長期間使用可能
4つ目のメリットは、耐久性がある点です。
保険適用のブリッジや入れ歯は、コストは抑えられますが、一般的にブリッジの寿命は7年から8年、入れ歯は4年から5年で新しくする必要が出てきます。インプラントの場合は、治療費はかかりますが、その分耐久性があり適切なメンテナンスを行えば、一般的に10年以上の使用が可能です。インプラント体(ボルト)に関しては、歯科治療で唯一一生使うことを目指せるものです。
初期費用としては、インプラントはブリッジや入れ歯より高いものですが、長期的に見たり、他の健康な歯への負担を考えたりした場合に、インプラントのコストパフォーマンスは高いといえるでしょう。
また原価率も、ちゃんと予後が期待できるインプラントや上部構造を選択しているクリニックでは、最もインプラントが高くなるので、そういった意味でもコストパフォーマンスが高いといえます。
顎骨の吸収を防ぎ口元の健康を維持する
5つ目のメリットは、口元の健康を維持できる点です。
歯を失ってしまった部分の顎骨は、使われなくなり噛む時の刺激も受けなくなってしまうため、骨が減ってしまう「骨吸収」という現象が起こることがあります。寝たきりが長くなった方が、足の骨が細くなるのと同じ現象です。
インプラントは、顎骨に埋め込み新しい歯を独立させることで、新しい歯が噛む力を得られます。噛む力が戻ってくることで、顎骨への刺激も行われるため、骨吸収を防ぐことが可能です。
前歯インプラントのデメリット
前歯インプラント治療には、見た目の良さを実現したり口腔内の健康を維持するといった、いろいろなメリットがあります。
一方で、デメリットについても認識しておかなければなりません。ここでは3つのデメリットを挙げます。
- インプラント周囲炎の発生リスク
- 高額な治療費用
それぞれについて、詳しく見ていきましょう。
インプラント周囲炎のリスクとメンテナンスの重要性
2つ目のデメリットは、インプラント周囲炎のリスクがあることです。
インプラントは人工物であるため、虫歯になることはありません。しかし、日々の十分なセルフケアやクリニックでの定期的なメンテナンスは重要です。
虫歯にはならずとも、インプラントの場合は、インプラント周囲炎が起こるリスクがあります。これは、インプラントの周囲にたまった細菌性のプラーク(歯垢)によって、インプラントを支える骨が溶かされてしまうものです。
これは自分の歯が歯周病になって骨が溶ける事と同じです。自分の歯と同じようにしっかりとした歯磨きとメンテナンスが大事です。
保険適用外による高額な治療費用
3つ目のデメリットは、高額な治療費用です。
インプラントは保険適用外の自由診療となるため、ブリッジや入れ歯を作るよりも高額になってしまいます。また、最も歯科治療の中で原価の高い診療です。
そのため、インプラントの治療には、高額な費用がかかってしまいます。
前歯インプラントの治療期間について
ここまでに前歯インプラントの治療難易度の高さやメリット・デメリットについて、見てきました。
前歯インプラントの治療は、歯肉や顎骨が適切な厚みを持っているか、インプラントを埋め込むのに十分なスペースがあるか、治療部分が健康な状態であるかも重要です。
これらの状態により、付帯手術や治療の有無も決まります。ここでは、それらを踏まえたうえで、前歯インプラントの治療をする時に要する治療期間について、見ていきましょう。
治療全体にかかる期間の目安
前歯インプラントの治療にかかる期間は、一般的に半年から1年程度かかるといわれています。治療期間に幅があるのは、前述のとおり、治療を受ける人の口腔内の状態により、必要な付帯手術や治療が変わるためです。また、どの歯科医師、どのクリニックで治療を受けるかによっての期間はまちまちです。
そのため、インプラント治療を開始する前に重要なのが、カウンセリングと綿密な治療計画です。口腔内の状態を診察したり、CTスキャンを撮ったりして、インプラントの適応が可能かを診ます。適応できる場合は、患者の希望などを聞きながら綿密な計画を立てていきます。インプラントが適応できるかの幅や、歯を抜いた後に回復を待つ期間も、歯科医師の技術とクリニックの設備によります。
実際の治療で行うことは、インプラントに変える歯の抜歯とインプラントと顎骨の接合です。抜歯をした後は顎骨の回復を待つ必要があります。回復期間としては、3か月から6か月程度を要します。また、その後に行うインプラントと顎骨の接合にも、同じぐらいの期間が見込まれるでしょう。
さとうデンタルクリニックでのインプラント治療では、待つことなく抜歯した日にインプラントを埋入することが可能です。
他にも、インプラント治療に入る前に口腔内の状態を整えるための手術や治療が必要な場合もあります。付帯手術や治療を行う場合は、さらに治療期間を長く見積もらなければなりません。
治療期間を短縮する方法
前歯インプラントの治療は長期戦が基本です。しかし、次のような条件をクリアした人は治療期間を短縮する方法を選択することも可能です。
- 口腔内の状態が良好
- 骨の厚みが十分にある
これらの条件が整っている人は、「即時荷重インプラント」という治療法を選択できます。この治療法は、通院回数が少なく費用を抑えられます。また、治療中に発生する食事への支障や見た目の変化によるストレスも軽減できるでしょう。
他にも、インプラント治療に向けて、事前に予備的な治療を早めに行ったり、しっかりと診察や精密検査を受けて綿密な計画を立てたりすることで、効率的な治療により治療期間を短縮できます。
また、選んだクリニック、歯科医師によっては、他のクリニックでは期間のかかる症例でも、技術と設備によって治療期間を短縮できます。クリニック、歯科医選びがとても重要です。
さとうデンタルクリニックの理事長は95%の症例を抜歯即時インプラントという抜いた当日にインプラントを埋入する術式でオペすることができ、歯茎もその分温存することができ、付帯手術も少なくすることができます。
前歯インプラントに関するよくある質問【FAQ】
Q. 前歯インプラントが難しい理由は何ですか?
A.前歯インプラントが難しい理由は、顎骨が薄いこと、審美性が求められること、歯肉移植や骨造成が必要な場合があること、複数本のインプラント治療が難易度を上げることです。
Q. 前歯インプラントの治療を早く終わらせる方法はありますか?
A.治療期間を短縮するためには、口腔内の状態が良好で、骨の厚みが十分にあることが条件です。この場合、「抜歯即時インプラント」を選ぶことで、治療期間を短縮することが可能です。
まとめ|自然で美しい前歯インプラントを安心して受けるために
前歯インプラントの治療は、治療難易度が高いため、すべてのクリニックで受けられるわけではありません。大前提として、十分な技術や実績を有するクリニックを選ぶことが重要です。
また、前歯インプラントの治療を検討するにあたっては、日々のセルフケアやクリニックの定期的な受診も重要です。こまめなケアや受診により、自分の口腔内の状態を把握しておくことが、スムーズな治療開始、治療期間の短縮を可能とします。
さとうデンタルクリニックは、インプラント累計10,000本以上の実績をもち、特に審美性が求められる前歯の治療にも数多く対応してきました。精密検査と計画に基づいた治療により、自然で美しい仕上がりと長期的な安心を両立しています。まずはお気軽にご相談ください。