インプラントの種類を徹底解説!構造・形状・素材をわかりやすく紹介
インプラントは、構造や素材にさまざまな種類があります。治療期間や見た目、耐久性にも違いがあるため、特徴を理解しておくことが大切です。
本記事では、インプラント治療を累計10,000本以上手がける「さとうデンタルクリニック」の知見をもとに、インプラントの主な種類と特徴を解説します。
インプラントは3つのパーツで構成されている
インプラント治療は、あごの骨に人工歯根を埋め込み、その上に人工歯を取り付ける治療です。
インプラントは、主に次の3つのパーツで構成されています。
- インプラント体(人工歯根):あごの骨に埋め込む歯根の役割を担うパーツ
- アバットメント(支台)インプラント体と上部構造を接続するパーツ
- 上部構造(人工歯):アバットメントに接続する歯の役割を担うパーツ
インプラント体には構造・形状・素材の種類があり、上部構造に使用される素材にもさまざまなものがあります。
インプラント体(人工歯根)の種類
ここでは、インプラント体の構造・形状・素材・表面処理の違いによる分類と特徴を解説します。
構造による分類
構造の違いによって、インプラント体は次の2種類に分けられます。
- ワンピースタイプ:インプラント体とアバットメントが結合しているタイプ
- ツーピースタイプ:インプラント体を埋入した後に、アバットメントをネジで固定するタイプ
ワンピースタイプは、主に1回法の手術で使用されることが多く、強度に優れています。ただし、あごの骨に厚みが十分確保されているケースに限られることや、アバットメントにトラブルが生じた際にインプラント体ごと除去が必要な場合がある点には注意が必要です。
一方、ツーピースタイプは、幅広い症例に対応できる柔軟性の高さが特徴です。
アバットメントを後から装着できるため、角度や高さを細かく調整でき、見た目や噛み合わせをより自然に仕上げられるというメリットがあります。
また、部品が分かれていることで、万が一トラブルが起きても一部のみ修理・交換が可能です。
このため、長期的にメンテナンスしやすく、結果的により長持ちしやすい構造といえます。
現在はこのツーピースタイプを用いるのが一般的です。
形状による分類
インプラント体の形状には、主に次の2種類があります。
- スクリュータイプ(ネジのような形状)
- シリンダータイプ(円筒形)
スクリュータイプは、シリンダータイプと比べて骨と接触する面積が広いため、固定されやすい特徴があることから、スクリュータイプが主に使用されています。
素材による分類
インプラント体の素材には、主にチタンまたはチタン合金が用いられています。チタンは、骨と結合しやすい、金属アレルギーを起こしにくい、軽量で錆びにくく耐久性に優れているといった特徴があり、インプラント体の素材に使用されているのです。
チタン合金は、チタンに他の金属を混ぜたものです。チタンと比べると強度が高い一方で、金属アレルギーや経年劣化のリスクがほんの少しだけ高い傾向があります。
また、近年では金属を使用しないため、金属アレルギーを起こす心配がないジルコニアも使われるようになっています。
表面処理・表面加工の違い
骨との結合をより早く、より強固にするために、インプラント体には次のような表面処理や表面加工が行われています。
- サンドブラスト:表面に砂状の細かい粒子を吹き付けて微細な凹凸を作り、骨との接触面積を増やすことで、結合を促進する方法
- アシッドエッチング(酸処理):塩素、フッ素、硫黄などで表面に微細な凹凸を作り、骨との接触面積を増やすことで、骨との結合を強化する方法
- ハイドロキシアパタイト:表面に骨の主成分であるハイドロキシアパタイトをコーティングすることで、骨とのスムーズな結合を促す方法
これらはインプラントと骨がより短期間で安定的に結合するため、一般的に使用されている処理です。
さとうデンタルクリニックでは、複数の世界的インプラントメーカーを採用しており、その中の1つとしてStraumann社のインプラント「BLX」を取り扱っています。

BLXは以下の特徴を備え、骨への負担を抑えながらも高い初期安定性を実現できるインプラントです。
- 細くなったインプラントネックデザイン
インプラント埋入後の皮質骨部への過剰なストレスを回避
- 3次元的スレッドデザイン
高い初期安定性と効率的な埋入を実現する、鋭く、革新的なスレッドデザイン
- 両刃のカッティング性能
インプラント埋入時には、正回転でも逆回転でも骨を切削するカッティング性能が、最適な初期固定を生み出します
- インプラント体を縦断するチップフルート
埋入時に既存骨をインプラントボディ周囲に凝縮し圧縮するデザイン
- スリムかつフルテーパーのインプラントコア
最終径より細い径でのドリリングで埋入するテーパードリリングテクニック
- 先端の深いスレッド
アンカーの役割を果たし、素早く骨に噛みこみます
当院では、最高級メーカーの高品質インプラント体をご用意しており、患者さま一人ひとりに適したインプラントを選定し、安心と健康を第一に考えた治療を行っています。
上部構造(人工歯)の素材
上部構造にも、さまざまな種類の素材が用いられています。
当院では、インプラント治療の精度だけでなく、上部構造(被せ物)の素材や技工品質にもこだわっており、患者さまのご希望や治療部位に応じて使用する素材を選択しています。
主に以下の3種類を採用しています。
- オールジルコニア:高い強度と耐久性を持ち、奥歯など咬合力がかかる部位にも適しています。
- オールジルコニアプレミアム:より自然な透明感を再現できるタイプで、奥歯でも審美性を重視する方におすすめです。
- ジルコニアセラミック:内側にジルコニア、外側にセラミックを使用した二層構造で、強度と透明感のある白さがあり、前歯など審美性を重視する部位に適しています。歯科の全ての被せ物の中で最も透明感があり、きれいなのがこちらです。
被せ物の仕上がりは、使用する素材だけでなく、採用しているブランドや技工所の品質にも大きく左右されます。
当院では、これらすべてに厳しい基準を設け、見た目・耐久性・噛み心地すべてに満足いただける仕上がりを追求しています。
インプラントのメーカー
インプラントは、世界各国で900以上のメーカーがあり、日本国内でも30社以上が取り扱われています。
メーカーによって、形状・構造・表面処理・素材などの特徴が異なり、それぞれに強みがあります。
さとうデンタルクリニックでは、世界的に信頼性の高い以下のメーカーを採用しています。
患者さま一人ひとりの骨の状態や治療部位、審美性のご希望に合わせて、最適なインプラントを選定しています。
- Straumann(ストローマン)社:世界シェア1を誇るスイスのメーカーで、骨との結合力や耐久性に優れたインプラントとして知られています。長期使用における安定性が高く、信頼性のある素材と精密な加工技術で多くの歯科医師に支持されています。
- Zimmer Biomet(ジンマー・バイオメット)社:アメリカを代表する医療機器メーカーで、骨量が少ない方や複雑な症例にも対応可能なスプラインインプラントを提供しています。噛み合わせや骨の条件に合わせた柔軟な対応力が特徴です。
- BioHorizons(バイオホライズン)社:米国メーカーで、特許技術「レーザーロック(Laser-Lok)」を採用したインプラントを開発。
レーザー加工によりインプラント表面に微細な溝を形成し、骨と歯ぐきの密着性を高めることで、腫れや炎症が起こりにくく長期的に安定した状態を維持できます。
これらのメーカーはいずれも、高い安全性と長期安定性を実証しており、世界中で臨床実績があるブランドです。
当院では、それぞれの特性を踏まえて最適なインプラントを選定し、安心・確実な治療を提供しています。
自分に合ったインプラントの選び方
インプラントは、骨の状態や治療部位、見た目の希望によって最適な種類が異なります。
選ぶ際は、以下のポイントを基準に考えると良いでしょう。
- 骨の量・硬さ:骨量が少ない場合は、適応範囲の広いインプラントを選ぶか、必要に応じて骨造成(GBR法やサイナスリフトなど)を併用して対応する場合もあります。
- 治療部位:奥歯は強度の高いジルコニア、前歯は透明感のあるジルコニアセラミックが適しています。
- 審美性の重視度:見た目を重視する場合はジルコニアセラミックなど審美系素材を。
- メンテナンス性:ツーピースタイプはパーツ交換が可能で、長期的なメンテナンス性に優れます。今はこのツーピースタイプを使用するクリニックがほとんどです。
当院では、これらを総合的に判断し、CT画像診断による骨の状態・噛み合わせ・審美性を考慮して最適な種類を選定しています。
インプラントの種類を理解したうえで、実際の手術の流れを知っておくことも大切です。
下記の記事では、インプラント手術の方法や治療の進め方を詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
▶インプラント手術について徹底解説!メリット・デメリットも紹介
インプラントの種類に関するよくある質問
Q. インプラントにはどんな種類がありますか?
インプラントは主に「構造」「形状」「素材」によって分類されます。
- 構造:アバットメントが一体の「ワンピースタイプ」と、分離している「ツーピースタイプ」
- 形状:ネジのような「スクリュータイプ」と円筒形の「シリンダータイプ」
現在は、ツーピース構造×スクリュータイプ×チタン素材が主流で、強度と長期安定性に優れています。
Q. チタンとジルコニアのインプラントはどう違うのですか?
チタン製は長年の臨床実績があり、骨と結合しやすく、耐久性に優れています。
一方で、ジルコニア製は金属を一切含まず、アレルギーの心配がないのが特徴です。
ただし、ジルコニアは加工が難しく、適用できる症例が限られるのと、骨の少ないアジア人には向いていないデータがあります。また、ジルコニアインプラントにはワンピースタイプしか存在しません。
強度・適応範囲・費用などを総合的に考慮して選択しましょう。
Q. インプラントメーカーによって何が違うのですか?
メーカーごとに、形状・表面処理技術・骨との結合力・適応症例が異なります。
例えば、
- ストローマン社(スイス):世界シェアNo.1。骨との結合が早く、長期安定性が高い。
- ジンマー・バイオメット社(米国):骨量が少ない方にも対応できる高い汎用性。
- バイオホライズン社(米国):特許技術「レーザーロック」で歯ぐきとの密着性が高く、炎症リスクを軽減。
いずれのメーカーも世界的に臨床実績があり、安全性が証明されています。
当院では、骨の状態や希望に応じて最適なメーカーを選定しています。
まとめ
インプラントの構造や素材にはさまざまな種類があるため、骨の状態や希望、治療期間などを踏まえて最適な方法を選択します。
インプラント治療は時間や費用を要しますが、適切な方法で行うと、見た目も機能も天然歯に近い仕上がりが期待できる治療法です。
さとうデンタルクリニックでは、実績と信頼のある世界的メーカーのインプラントを採用し、患者さま一人ひとりに合わせた最適な治療計画を提案しています。
そして、通院が難しい方にも長期的に安心してご活用いただけるよう、来院の有無にかかわらず適用される10年保証付きインプラント治療を提供しています。インプラント治療をお考えの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

